今季のリバプールはここまで99得点49失点。守備には課題を残しながらもサポーター以外が観ても楽しめるサッカーで結果を出しプレミアを盛り上げている。しかし、シーズン序盤を振り返ればレッズは3バックの布陣で戦っていた。開幕3試合は1-0で粘り3連勝を収めたもののその後打ち手が無くなり失速。スアレス復帰と共にベストな形を模索し辿り着いたのがジェラード1枚を底に置く陣形だ。5-1で完勝した25節のアーセナル戦(H)から連勝をした11試合は全てこの戦い方で臨んでいる。
しかし、サッカーが11対11で行われる以上完璧なフォーメーションは存在しない。リバプールが採用した攻撃に特化した布陣に守備面で綻びが生じているのは誰の目にも明らかだ。重要なのはその欠陥が致命傷にならないよう”砂をまぶす”ことである。4-1-2-1-2(もしくは4-3-3)を採用する時のポイントはコウチーニョ、スターリング、アレン、ヘンダーソンのいずれかが担当することの多いキャプテンの左右斜め前に当たるポジションだ。もちろん彼らは極力高い位置を取り攻撃に厚みを持たすことを求められるのだが、同時に守備面でも多大な役割も担わなければならない。
これは1枚の底に決して守備力の高くないジェラードを起用する上に、サイドバック(特に右)を攻撃の起点とする戦い方の代償だ。攻めきれずにボールを奪われるとジェラードの両脇はぽっかりと空き、そのままバイタルへの侵入を許せば広大なスペースを自由に使わせることになる。つまり相手陣内でボールを奪い取るか、プレーを切る、もしくはロングボールを蹴らせる(ウエストハム戦はそれを逆手に取られ苦戦したが)ことができなければピンチを招くのは必然なのだ。もちろん相手もそこを突いてくる。
その意味で今のレッズには中盤のハードワークと組織的な守備が必要であり、中でも両脇を埋める選手にはタフさと戦術理解が高いレベルで求められる。
それでもこの多少リスキーなサッカーは観ていて最高に面白いし、今年41歳になったばかりの北アイルランド人監督は結果も出した。ジェラードの年齢を考えると長期に渡って同じ戦い方ができるとは思えないが、ロジャーズ監督が自身のサッカー哲学の根本である”攻撃的”なスタイルを崩すことはないだろう。手探りながらも頼れるベテランと若手、監督が勢いを止めずまだまだ伸び代すら感じられるリバプール。彼らは来シーズン、CLアンセムが響き渡るアンフィールドのピッチでどんなプレーを魅せてくれるのだろうか。
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