【BRが施したリカバリー策】
しかし、もちろんウエストハムの守備にも穴はある。彼らが取ったのはパスコースを塞ぎつつ前線からのプレスで密集地帯を作ってボールを取り切る、もしくはハイボールを蹴らせる策。当たり前ではあるが、特定の地点に人を割くことで別の地点は手薄になり、手薄の地点へボールを運ばれれれば守備のバランスは極めて悪くなる。故に両サイドを起点としたポゼッションが効果的なのである。ロジャーズは前半20分にフォーメーションを3バックへと変更して上記を実行。攻撃重視であるスターリングのWB起用は博打でもあったが、これが功を奏し、前線からのプレスを回避。試合の後半になるにつれてリヴァプールの攻撃にリズムが生まれる。が、時既に遅し。(下記は前半25分にリヴァプールが左サイドを起点とした攻撃をした場面)
【BRに期待を込めて】
ロジャーズが名将なのは確かだが、自らの理想とする「勝ち方」に固執し勝点を落とすことが少なくない。決して戦術の引き出しが不足している訳ではなく、現にウエストハム戦でも前半20分で思い切った修正を行っている。しかしながら、モウリーニョのような試合開始から勝点に拘る「したたかさ」には欠けるのである。
躍動感溢れるハマった時のBRレッズは観る者にとってこの上なく魅力的に映るが、W杯直後である上にCLもあり、既に多くの怪我人が出ている今季、長いリーグ戦を戦い抜くのに必要なのは「悪い時いかに勝つか」ではないだろうか。好ましくないチーム状況で臨む試合で、相手の強みを潰し、弱みに漬け込むリアクションサッカーを仕込めるかどうかが最終順位を決める鍵となるかもしれない。