ジョーダン・ヘンダーソンの成長曲線~戦力外からチームの心臓へ~

“快進撃の立役者”と上述したが1314シーズンに優勝できなかった「戦犯」もまた、ある意味では彼なのかもしれない。3-2のシーソーゲームを制したシティ戦の終了間際、不用意なスライディングで一発退場。優勝を決める残りの試合に出場できなくなってしまったのだ。その後レッズは10連勝していたのが嘘のように勢いを静め3試合で勝点4に留まる。そしてシティにトロフィーを明け渡した。

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ただここで強調したいのは、それだけこの英国人MFが必要不可欠な存在になっていたということだ。つまりこの時ヘンダーソンは紛れもなくリヴァプールの「心臓」になっていたのである。欠かせない存在としてチーム全体から認められたことはスアレスとのパス交換の本数の変化からも読み取れる。当時リヴァプールに所属していたスアレスは仲間を使うのが上手い選手であるものの、信頼を置いていない選手にはボールを預けたがらない傾向にあった。同様に期待が持てる相手かどうかでパスを受ける時の動きだしにも差をつける。そんな彼とヘンダーソンとの関係性は1213~1314シーズンにかけて顕著に変化した。

ヘンドとスアレスのパス交換

上記は1213シーズンに両者が同時先発した5試合と、それに対応する翌年の試合で2人の間で行われたパス交換数の比較である。パス交換の数は1.4倍も増えたのだ。実力の向上と信頼関係の構築は結果にも繋がり、彼はこのシーズン35試合先発して4G7Aを記録した。

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“監督はお前を必ず良い選手にすると言い、僕に欠けていた戦術面での理解を後押ししてくれている。試合での自分のプレーの分析に加えビッグゲームで勝つために様々なフォーメーションや戦術も学んでいるんだ。”

ヘンダーソンは副キャプテンに任命された際のインタビュー(ECHO)でこう語っている。ロジャーズと出会ってから彼の成長が著しい理由はこの戦術指導にあるのかもしれない。身体能力に依存しない彼のプレースタイルにさらなる「頭脳」が加われば、息の長い選手としてアフィールドでさらに活躍の幅を広げて行くはずだ。「戦力外」から「ネクストジェラード」へ。ジョーダン・ヘンダーソンの物語から引き続き目が離せない。

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