【クロップ戦術】ゲーゲンプレスとは〜近代サッカーの3つのモデルとリバプールの可能性〜

 

■ゲーゲンプレスにおける重要なポイント

近代サッカーにおける各ゲーゲンプレスではモデルによって細かな動き方は異なるが、共通している重要なポイントが2つある。1つ目は「ボールを保持しながら奪われた時のことを考えること」、2つ目は「的確なシャドーカバーを行うこと」だ。

−ボールを保持しながら奪われた時のことを考える−

ゲーゲンプレスはボールを奪われた次の瞬間にボールを奪い返す為の動き方である。5秒以内に奪えなかったら速やかにリトリートに変更するという約束事を決める場合もある様だが、それだけ短い時間で適切な動きをすることが求められる。すなはち、ボールを奪われてから次の動作を考えていては遅いのである。以下の、ドイツvsイタリアを考察した動画の前半部分を是非ご覧いただきたい。

自陣がボールを保持している時から自らのアプローチ先を定めていることがよく分かる。結果として、ボールを失った次のシーンにはボールホルダーの選択肢を狭めつつ激しいプレッシャーをかけることに成功している。どのモデルであれ、この様に常にボールを奪われた時の役割を頭に入れながらプレーをすることが極めて重要なポイントとなる。

−的確なカバーシャドーを行う−

カバーシャドーとは自らのポジショニングによってパスコースを制限する方法のことを言う。

soccerpilot.comに詳しく記載があるので是非ご確認いただきたい。以下の図は同サイトからの引用。

ゲーゲンプレスのいずれのモデルにしてもファーストディフェンダーがパスコースを限定する必要があるので、カバーシャドーが的確に行えない選手がいると大きな穴となる。

尚、ボールホルダーの選択肢を減らしミスを誘発することを前提としたクロップのモデルではその傾向が強くなる。これが上手くいかないと数的不利で広大なスペースの空いたエリアを好き勝手に使われピンチを招くこととなる。リバプールではフィルミーノやララーナはカバーシャドーが極めて上手く、逆にスタリッジやベンテケ(現クリスタルパレス)はあまり得意としないプレーである。

上記2つのポイントがゲーゲンプレスを成立させる上での大前提となるポイントである。最後にゲーゲンプレスを戦術の軸として戦うクロップリバプールの可能性について述べて本記事を締めたい。

【次ページ】ゲーゲンプレスを軸とするクロップリバプールの可能性