【W杯分析】「ペペ」の退場前から試合は決まっていたのでは。実力を過信し無理な戦いを挑んだポルトガル(vsドイツ)。

日本時間深夜1:00に見ている側としては緩いガードで戦ってくれた方が試合展開的に眠くならないのでありがたいが、一発勝負で勝点を拾いに行くのであれば他により相応しい戦い方があったはずだ。

退場者が出るまでの35分間を振り返ってみよう。まずはポルトガルとドイツの基本的なスタッツを比較。シュート数:5(Po)-4(Ge)、パス成功率:84%(137)-86%(164)、チャンスクリエイ数ト:5-2、ドリブル成功数:3-3、タックル成功数:3(33%)-8(53%)、インターセプト数:5-1、ポゼッション:46%-54%(←データがなかったため49分のものを採用)。これだけを見るとポルトガルの方が優勢にも見えるが5回作った「チャンス」はすべてエリア外で、インターセプトもファイナルサードでは1度だけ。対するドイツは15回試みたタックルのうち53%を成功させ、ドリブルもエリア付近で3回成功させている。

次に両チームのヒートマップを見てみよう。(前半35分まで)ポルトガルの攻撃は右サイドに集中している。(参照:squawka.com

heatmap(Po)

モウチーニョとナニで右サイドを崩して逆サイドから入ってきたロナウドにフィニッシュさせたかったのだろう。しかしながらゲッツェまでしっかり戻る手厚い守備を突破できずこの試みは殆ど上手くいかなかった。(ゲッツェは自陣で4回タックルを仕掛け2回成功)35分までにロナウドのシュートに繋がったのはラームのボールロストから得たショートカウンターと大きく枠外に外れたロングシュートの2本のみ。難しい試合展開の中、後半34分に狙い通り右から崩しロナウドを経由して得た決定機もコエントランが中途半端なキックで台無しにしてしまった。それでもロナウドはチャンスを伺い前線に残り続けた。

一方のドイツ、ディフェンスラインではポルトガルの攻撃が集中している左サイドを固めているが攻撃では両サイドを有効に使っている。

heatmap(Ge)

前線の中央よりに残るロナウドが空けた右サイドのスペースを利用して攻撃を組み立て、底に配置されているヴェローソを引っ張り出す。そのタイミングでぽっかりと空いたバイタルでミュラー、走り込んだケディラがパスを受けエリア内に侵入。メイレレスが懸命に守備をしていたが巧みなボールタッチと動きだしを見せるゲルマン軍団を止めるには役不足、というよりは人数が足りていなかった。且つ、ナニとモウチーニョが放置したスペースに随時走り込むゲッツェという選択肢も備え持つ。12分のPKは前者のパターンで獲得した。

ドイツの攻撃に関するこれらの流れは前半20分までのパスの図(下記)を見るとより分かりやすいかもしれない。

pass(Ge)

PKによる失点後もオープンプレーからはなんとか決定機まで持ち込ませていなかったポルトガルだったが攻撃のリズムを作れないまま攻め込まれて与えたCKで失点し2点差を付けられ、後ろを固めることすらできなくなってしまった。頼みのロナウドにもキレがなくこれではもうお手上げ状態。ロナウドが怪我明けだったからかもしれないが無理に右サイドに重心を置き、フィニッシュを彼に任せる戦い方は実力者が揃ってハードワークをするドイツ相手に軽率だった。そして敗北した。つまりペペの恐るべき攻撃性による退場劇はポルトガルから勝点奪った訳ではなく、チームに余計な失点を与え、視聴者に眠気を思い出させたに過ぎなかった。

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