W杯もいよいよベスト8が出揃い残り8試合。今大会はグループステージから例年の倍近く得点が入り、それに伴う逆転勝ちも数多く起きています。前線からの猛烈なプレスとゴールに直結するパスを早い段階で入れるスタイルを選択するチームが増えているためか、試合内容としてもスピーディーで引き締まった展開が多い印象です。その上に”サッカー王国”ブラジルでの開催ということも重なって、今年のW杯は近年でもトップレベルの盛り上がりを見せているのではないでしょうか。
本記事ではそんな熱気を帯びた祭典のベスト4決定戦を前に、勝ち残った8チームのスタッツを紹介します。取り上げるのは走行距離、シュート本数、パス本数、ドリブルによるエリア内侵入数、ボール奪取数の5項目です。データはFIFAの公式サイトを参照させて頂きました。
<総走行距離>
走行距離のトップはベルギーの470.1km。延長戦までもつれ込むアメリカとの熱戦で走った147.3kmが大きく影響しているようです。ちなみにこの試合では無尽蔵で有名なアメリカのブラッドリー選手が16.7kmという走行記録を残しています。それに続くのは延長戦を戦ったドイツとコスタリカ。最も走っていないのはコロンビアの418kmで、ベルギーとは実に50kmの差があります。一人の平均走行距離が10km前後だとするとベルギーは5人分多く走っているという事に。ブラジル、アルゼンチンも含めて南米勢は比較的省エネして勝数んできているようで、これ以降のステージではそのアドバンテージが生きるかもしれません。(といっても、片方は南米の潰し合いですが。)
<シュート本数>
シュート本数のトップもベルギー。こちらもアメリカ戦、ハワード選手の活躍もあり38本ものシュートを放つはめとなったことがこの記録に大きく影響しています。ベルギーの総シュート本数は81本なのでその約半数のシュートをこの熱戦で稼いだ計算です。それに対してシュートが少ないのはコロンビアとコスタリカ。両チームとも効率よく点を取ってここまで勝ち上がってきたようです。コロンビアのハメス・ロドリゲス選手は14本のシュートで5得点を決めるという驚異の決定率を誇っています。
<ドリブルによるエリア内侵入数>
この項目もまたトップはベルギー。それにドイツ、アルゼンチンと続きます。延長戦を戦ったこの3チームにピタリと付いているのが18回を記録しているのがオランダ。今大会のハイライトに何度出てきたか分からないロッベンの高速ドリブルがこの数字を伸ばしているようで、彼のプレーが7回のエリア侵入につながっています。それに対してこの項目の最下位はコスタリカの5回。ネガティブなスタッツにも見えますが、寧ろ個ではなくチームで戦って勝ち上がってきた裏返しでもあり称賛に値するのではないでしょうか。
<パス数>
パス数が最も多いチームはドイツ。流石はバイエルン仕込みの選手が多いと言ったところでしょうか。2560本を記録は2位以下を400本以上引き離してのトップです。ちなみにドイツのGKノイアー選手は、果敢な攻撃参加で1試合当たり30.5本ものパスを成功させ周囲を驚かせています。ドイツに続くのがアルゼンチンの2112本。アルゼンチンはメッシ、ディマリアなど個人技に優れた選手が多い印象ですが、今大会では細かいパスの連携と最終局面での個の強さを生かした戦い方が目立っています。
<ボール奪取数>
最後はボール奪取数。この項目でもまたドイツが首位となっています。プレーエリアを狭めてコンパクトに取り切る守備が徹底されている結果かもしれません。次点にアルゼンチン、コスタリカと続きます。攻撃面のスタッツはパッとしないコスタリカですが、ダークホースとなっている所以はやはり守備面にあるようです。すべての試合でボールポゼッション45%未満と、守備に転じる時間が長いこともボール奪取数が多い一つの理由かもしれませんが、組織的に守って相手の長所を消す戦い方で”死の組”を首位で突破した実力に疑いはありません。