リヴァプールが2-1で辛勝したWBA戦(H)で見られた「相手が弱点を隠すために露呈する”隙”を突く」攻撃を両者の目線から読み解く。難しい試合ではあったが自らの策がピシャリとはまったロジャーズは今頃したり顔だろう。
【WBA目線】
WBAはゾーンディフェンスを中心とした深い守りからのカウンターを採用。相手の中盤~最終ラインにかけてはプレッシャーを殆どかずに低い位置でのパス回しは黙認するが、自陣深い位置に入るにつれ各スペースに人を置き決定的なパスを出させない。オーソドックスな守備的布陣であるが下記3点を考慮して戦うとなれば極めて妥当な策だ。
(1)ドーソンとレスコットの2CBはスピードに難があるため裏に走りこむスペースを作らせたくない
(2)昨年2位の相手のホームでの戦い
(3)前線に強力なセンターFW(ベラヒーノ)を置ける
【LFC目線】
これに対してリヴァプールは
(1)コウチーニョを低めに置く
(2)ランバートの起用
で応戦。結果的にはこの形での揺さぶりが勝点3をもたらした。疲労困憊のスターリングの起用も上記に関係する。
コウチーニョは厳しいプレスを受けるとボールロストの達人になってしまうことは良く知られているが、要所で見せる鋭いスルーパスが一級品であることも確かだ。ゆったりとパスを回しエリア手前で停滞するサッカーでは相手の思う壺なので、このブラジル人MFの武器と俊敏なアタッカー陣を使ってスピードに欠ける相手の守備ラインを攻略したい。具体的には鈍足の2人が下がりながらプレーするような場面を増やしたいのである。
そこでロジャーズはプレッシャーを殆ど受けずにプレーできる後方にコウチーニョを配置した。これに加えて、味方を生かすために教科書通りの動き方ができるランバートを最前線に置き、両脇には器用で速いララーナとスターリング。これで「隙あらばいつでも裏を取りますよ。」というメッセージは出来上がる。上記はランバートがCBを釣ったスペースにララーナが走り込もうとする22分の場面。(拡大可)