QPRvsリヴァプールの分析〜気の毒なカンと幸運なレッズ〜

先に断りを入れておくと本記事は簡易な分析となっている。理由は近々CLもある中でスピードを重視したかったからだ。とは言え、本記事を読んで、なんだかよく分からなかった試合が少しでも分かるようになればと思って書いていることに変わりはない。それではサラッと進めていく。

【QPR目線】
・ロブレン、シュクルテルはほっとく(特に良いパスも出せないので)
・サイドに追い込んだら逆サイドには返させないように追い込む
・前2枚にロングボールを蹴り込み続ける

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QPRは何か特別な仕掛けをしてきたわけではなかった。前線の2人にロングボール、クロスを放り込みまくっていたのが意図的かと言われればその通りだがこの策は最下位に甘んじるまでに重ねてきた7試合と変わらない。この日のQPRのクロス数はリヴァプールの8本に対して25本と相対的に多く感じるが、これまでの7試合でも平均22本のクロスを上げているチームとしては至って普通の数である。加えてリヴァプールのCB2人が蹴り込んだボールを悉く触れなかったというわけでもなくロブレンは71%(10/14)、シュクルテルは83%(5/6)の競り合いを制している。ただ零れたボールの処理に不安のあるロブレンに放り込みを集中させたのは狙い通りだったかもしれない。その策とリヴァプールの「薄い中盤」がシナジーを効かせ、QPRは前半を支配。彼らは完璧な試合運びをしたご褒美に45分だけで実に4回の決定機を作り出し、前半で試合が決まる程の点を決めていても決しておかしくはなかった。しかし…(略

【LFC目線】
・左サイドで細かくバス回しして、隙を見てスターリングらのいる逆サイドのスペースを突く
・ララーナは基本出し手に回る
・ジェラードかバロテッリはCBを剥がす動きをする(引いてきて裏にスペースを作る)

リヴァプールは左サイドで細かくパスを回して逆サイドの裏のスペースを上手く活用したかったようだ。ジェラードを前に置いたのは、バロテッリと上手いことやって欲しかったということにしておく。兎にも角にも、狭い方(左サイド)で回して、空いた穴を突きたかったのだ。が、何故か狭い方で回して狭い方から攻めることになってしまったリヴァプール。そりゃ無理ですよ。そっち敵いっぱいいますもん。結果、前半だけで7回も自陣でボールを失い、何度もピンチを招いた。なぜ狭い方&狭い方になってしまったかというとその原因は下記の2つ。①カンの展開力のなさ&エンリケの不調。②自陣でのパス回しに参加する選手の少なさ。

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①カンは粘り強い守備と縦への推進力には定評がある。が、お世辞にもパス回しが上手いタイプとは言えない。実際に前線へのフィードや一山越えるパスは殆ど出さず左サイドへの平凡なパスばかり。それをダイレクトで受けて近くでリズミカルに回すこともない。しかしトラップからパスまでに時間がかかり、逆サイドを向くまでに2タッチを必要とするタイプである彼にタクト託すのには無理があった。且つ、それに追い打ちを掛けたのがエンリケの不調。怪我前は小気味良くボールをキープしつつ複数の選択肢を持てる選手であったが、復調はまだ遠いようだ。相手の誘導に従い同サイドの狭い方へのパスに終始し、結果、パス成功率58%を叩き出してしまった。(下記エンリケの前半パス図)

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②さらにこれがカンとエンリケの役不足を際立たせた。リヴァプールは前半、自陣まで降りてきて組み立てに参加する選手が非常に少なかった。相手の陣形を間延びさせたかったのかもしれないが、フィードも組み立ても得意でないカンと長期離脱明けエンリケを置いてこの策を取るのは危険すぎた。前半半ば、ヘンダーソンが器用に空いたスペースを使ってスターリングにパスを出した場面があったが、カンにはこういった繋ぎをする力が不足していたのである。しかも相手はその2人のいるゾーンに人数かけてきている。これはきつい。。(ヒートマップからも前半は左サイドでのプレーに偏っていることが良く分かる。:下記、前半→後半のヒートマップ ※ via Squawka.com)

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後半入ってロジャーズは上2つを修正。ジェラード底にして、みんなで組み立てよう作戦。そしたらまあ悪くはなくなって、リヴァプールのチャンス数もエリア内からのシュートも増えました。(5→7、3→7)が、バロテッリが外したりヘンダーソンがふかしたりして得点は入らず。が、攻撃がわりと安定してきたためカウンターなどによるピンチは減少。(セットプレーを除く。)さらにコウチーニョが入って本来やりたかった低い位置で崩してスペース使う流れが確立され、対に得点。しかし直ぐに失点。が得点。失点。得点。(この辺はよくわからないけどレッズが勝ちました。)

【雑感】
前半3失点しててもおかしくないぐらい酷かったのでリヴァプールが勝てたのは文字通り「ラッキー」だった。総合的にもQPRの方がチャンス作ってたし。。それでも結果だけ見ればカンの1枚底は厳しいってことと、エンリケがまだ己を取り戻していないことを知れた上に勝点3まで付いてきた。KOPにとっては決して悪くない週末だったのではないだろうか。

PS:この試合では機能しなかったが、二十歳であそこまで堂々とプレーするエムレ・カンには大きな期待には大きな期待を寄せている。頑張れカン!