オリギ、スタリッジ、ベンテケのスタッツ比較~3選手のプレースタイルと寸評~

リヴァプールが抱えるストライカーのうち、現状稼働しているのはベンテケ、オリギ、スタリッジの3選手。オリギの台頭、スタリッジメンバー落ち、ベンテケ放出の噂が最近の流れですがスタッツを元に3選手の力量と置かれている状況を考察してみます。スタッツはSQUAWKA COMPARISON MATRIXを参照させていただきました。ご興味のある方はこちらも除いてみてください。尚、スタッツの比較は参考データとしてケインとジルーも含めています。

スタッツ比較

【ダニエル・スタリッジ】センターFWの最重要ポイント、得点力においてはケイン、ジルーを入れてもスタリッジが頭一つ抜けています。ここ3年同等のペースでネットを揺らし続けているのは見事なもの。今季は90分に0.81得点のペースで決めています。

スタリッジは相手DFの前に陣取り、味方のためのスペースを作り出すタイプの選手ではなく、自由に左右上下へ動いてボールに絡む選手です。クロップが1トップでの起用を避けるのも恐らくそのためでしょう。ちなみに空中戦の勝率に関してはわずか18.5%。

一方、コウチーニョ、フィルミーノら中盤との絡みは時に絶品でパス成功数22.8回、成功率79%と文句なし。いくら怪我が多いと言え、手放すべき選手ではないでしょう。

 

【クリスティアン・ベンテケ】£32.5mの移籍金とプレーが見合わないということで数多の批判を受けているベンテケ。一度フラットな立場に戻って彼のことを見てみましょう。

スタッツで目を引くのはやはり空中戦の強さ、90分間でオリギの8倍、ジルーの2倍以上の空中戦を制しています。勝率も56.5%と圧倒的です。ちなみにこの数値はウエストハムのキャロルにも勝ります。また、キーパスの数も他のケイン、ジルーを含めても1.7本とトップ。エアバトルは兎に角強く、そこから一定以上好機を演出する、ロングボール要員であるならこれだけでも十分です。

他方、マイナスポイントとなるのがパス精度67%とシュート精度46%。加えて、ゴール数もスタリッジ、オリギに劣る90分につき0.54得点です。イージーなパスミスによる攻撃の中断や、決定機でのシュートミスがこれらのスタッツに跳ね返ってきているようです。

ロングボールを使えるようになるという意味で監督としては持っておきたい駒ですが、ロングボール主体のチーム編成でないのであれば勿論その他の働きも重要となります。現在のリヴァプールはそれに当たります。また、クロップは就任後に「ベンテケや、もっと頑張れ」的なことを本人に言ったようですが、ここでは新しい戦術への適応について話したものと思われます。そして筆者としては攻守共にその戦術理解も十分ではないと感じます。

最後にお金の話を持ち出しますが、£32.5mの値札は空中戦は当たり前に強くて、その他のプレー精度も高い、といった期待からつけられたはずです。後者が期待外れな上に、戦術にもハマらないとなるとエースではなく、あくまでオプションとしての立ち位置からは抜け出せません。残しても問題はないですが、他クラブからのオファー額によっては来季放出されるでしょう。

 

【ディボック・オリギ】長期離脱中に筋トレをした結果、ボディバランスが見違えるほどに向上したオリギ。スタッツではシュート精度71%とドリブル成功率60.9%が光ります。90分ごとの得点数はケインにピタリとつける0.67得点。20歳の成長株としては申し分ないスタッツです。

クロップがスタリッジよりも先発に起用しがちなのは、彼の戦術にハマっているからでしょう。背負ってボールをキープでき、且つ、裏への抜け出しを武器とするオリギは相手CBの前後に漂うプレーを好みます。ドルトムント戦やシティ戦では、彼のこの動きが特に戦術の要になっていました。年齢も加味すると、現在のクロップのチームの中で最も市場価値が高くなる選手のひとりでしょう。

 

1617シーズンのリヴァプールはイングスが復帰しFW4人体制となります。それぞれ特徴の異なる選手で頭数は揃っていることもあり、セカンドストライカーを補強した上で、ベンテケへのお得なオファーがない限り最前線の入れ替わりはないというのが筆者の見立てです。引き続き彼らの躍動に期待しましょう。