過去15年バロンドールの傾向と対策~オーウェン、ネドベド、カンナバーロ…~

バロンドールを確実に受賞する方法は至って単純だ。主要個人タイトル、主要チームタイトルをそれぞれ最低1回ずつ、合計で3回以上獲得する”だけ”でいい。世のあらゆる”アワード”は比較から成り立っている。1人の選手によるタイトルの独占は他の比較対象の選手からタイトル獲得機会を奪うことに等しいため上記を達成しバロンドールを逃した選手はここ15年1人もいない。(詳しくは”バロンドールの基礎知識“)

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08年から11年はCR7とメッシがこの偉業を成し遂げ続けた。しかしそのサイクルが終わりに差し掛かっている今、より多くの選手に受賞の可能性がある。08年にCR7が受賞する前の年から振り返ってみるとオーウェン、ネドベド、カンナバーロ、カカなど受賞者の顔ぶれはバラエティに富んでいる。逆に言えばシーズンごとのスターは誕生しても、毎年コンスタントに個人、チームタイトルを獲得する2人のような存在がいなかったのかもしれない。

16.38.47.53.73.60
42.26.33.53.60.55

この数字はメッシ(上)とCR7(下)の過去6季の得点数だ。2人はこれだけの点を取り続け、且つ、それぞれが世界最高レベルのチームのエースとして君臨し、自身の活躍に比例してチームタイトルも獲得してきた。

1994年のアメリカ大会まで遡っても、W杯イヤーのバロンドールはその大会で活躍した選手が受賞してきたが、2010年だけは違った。W杯優勝を遂げたスペインからはイニエスタが2位、シャビが3位、MVPと得点王を獲得したフォルランは5位にランクインしたがメッシの牙城は崩せなかったのだ。彼はそれ程並外れた存在であり、肩を並べるCR7にも同様のことが言える。付け加えておくと、W杯の影響力は八百長事件への関与が発覚したユベントスに所属していて、且つ、受賞には圧倒的不利なDFであったカンナバーロにバロンドールを獲らせるほど強力だ。

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では今年のバロンドールの行方は?
リーグ、カップ戦の成績・注目度から考えると、CR7、スアレスが抜きに出ている。しかし両選手ともチームのタイトル数が十分ではなく(CR7はCL優勝の可能性を残しているが)2010年のメッシ程のインパクトはない。受賞に向けて多少のアドバンテージを得ているのは確かだが今年はワールドカップイヤーなのだ。何が言いたいのかは下記のバロンドール候補トップ3のデータを見てもらえれば分かるだろう。

(スアレスの受賞可能性については“スアレスはバロンドールを獲れるか“で詳しく)。

■1998年
ジダン(W杯優勝)
シューケル(W杯得点王)
ロナウド(W杯MVP)

■2002年
ロナウド(W杯優勝+得点王)
ロベルト・カルロス(W杯優勝)
カーン(W杯MVP)

■2006年
カンナバーロ(W杯優勝+W杯準MVP)
ブッフォン(W杯優勝)
アンリ

■2010年
メッシ
イニエスタ(W杯優勝)
シャビ(W杯優勝)

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合計12人のトップ3の内11人がW杯で評価を上げている。つまり2012年のメッシになれる選手がいない今季、バロンドールを獲得する方法は至って単純だ。名のあるクラブチームに所属しリーグ戦でそれなりの活躍を収めた選手が、W杯で印象に残るゴールやセーブを決めチームを優勝に導けばいいのだ。