欧州最高のMFは誰だ?(1992年組編) ~イスコ、コウチ、ゲッツェ、ウィルシャのスタッツ比較~

欧州サッカーのスタッツ、ニュース、コラムが掲載されているWEBサイト(英語)Squwakaのデータを参照させて頂き、1992年世代の世界で注目されているMFイスコ、コウチーニョ、ゲッツェ、ウィルシャーのスタッツを比較した。成熟度に差はあるものの4選手とも次世代を担う期待の若手プレーヤーである。

4選手のスタッツ(欧州リーグ1314シーズン)pax-foot.info

■イスコ

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イスコは難しいボールでも足元にぴたりと止めることができ、プレーに余裕があるため視野も広く”計算できるファンタジスタ”と呼ぶに相応しい。「相手をドリブルでかわすのが大好き」と本人が語るように細かくスピード感のあるタッチで自ら持ち運び1314シーズンは試合平均に3回以上ドリブルを成功させている。加えて、チームが速攻を仕掛ける際に彼が繰り出すパスにもまた彼の凄みがしばしば現れる。ダイレクトパス、ワンタッチパス、相手をかわし切ってからのラストパスの技術はもちろんのこと、プレーの選択が極めて正確なためチームの勢いを殺さない。その結果として1試合当たりのキーパス数と創り出すチャンスの数はそれぞれ2.86本、3.17回と頭一つ抜けている。イスコは決して守備力のある選手ではないがその”読みの良さ”と”決断の正しさ”さからインターセプト数が4選手の中で最多いのも特徴の一つ。

■フィリペ・コウチーニョ

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コウチーニョはまるで”見習い魔法使い”のようなMFだ。まだまだ荒削りでミスも少なくないが躊躇することなく果敢に決定機創出を狙う姿勢を崩さない。難しい体制や距離からでもラストパスを試みるためパスの長さは17.18mと長く、成功率は81%と低水準。しかし、キーパス、チャンスクリエイト数ではイスコに食らいついている。ミスを恐れず積極的に相手の些細な綻びを狙うため、決定的なプレーに繋がることが多いのだ。彼の個性と年齢を考えると、堅実なプレーに終始して小さくまとまるよりも、粘り強く現在のスタイルを貫き一皮剥ける方に賭けるのも悪くない。ファールの少なさとタックル成功数の多さからは献身的で真面目な性格も読み取れる。ブラジルW杯のメンバーからは溢れたが、まだまだ伸び白はありそうだ。

■マリオ・ゲッツェ

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ゲッツェの攻撃面での優れた技術はその驚異のドリブル成功数(4.71回)とドリブル成功率(62.1%)を見れば一目瞭然だ。彼はまだ21歳ながら密集したスペースで相手を引き付け、必要があれば独力でかわしてから味方にパスを出せる傑出したスキルを備え持つ。チームはその恩恵を受け、別の余裕あるスペースを手にすることができるのだ。故に直接的なチャンスクリエイト数こそ少ないが、彼を拠点に決定機が生まれることも数多い。チーム事情もあるがパスの長さが短いのもそのためだ。「点に集中させ、大きな面を創り出す」そんなドイツの新鋭を本記事では”スペースの支配者”と称したい。

■ジャック・ウィルシャー

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ウィルシャーはイングランド人には珍しい繊細さと大胆さを備え持つ司令塔タイプのMFだ。遅攻では低い位置でそつなくボールを裁いきながら隙を見てロングボールを供給。速攻ではワンタッチで味方の前のスペースへパスを転がし、自らもダイナミックに走り込む。しかし、16歳でデビューしてからこうした高い評価を受け続けてきながらも、好不調の波があるからかスタッツとしては今一つ。それでも時折試みる長いボールも含めて1試合62.77本のパスを成功させていることはチームのリズムを創っている裏返しである。しかし、一方ではドリブル成功率45%とボールロストが少なくなく、ファール、カード数では他の4選手の遥か上を行く。期待が大きい分厳しい評価も付きまとうが、持ち前の負けん気で批判を吹き飛ばし洗練された選手へと成長してもらいたい。

欧州最高のMFは誰だ?(1992年組編)

欧州サッカーに新しい風として舞い込み、熱気を生み出している4人のMF。共に異なる個性を持ち既に高い完成度を誇る選手もいるが、22歳という若さを考えると真価が問われるのはこれからだ。彼らのさらなる飛躍に今後も目が離せない。

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