【W杯分析】ベルギーの逆転から読む「引いた相手の崩し方」

後半:監督の早い判断が功をそうしバイタルにスペースが生まれる

ベルギーは後半からスピードのあるメルテンスを投入。彼が執拗に両サイドの裏を狙うことでアルジェリアの”守備陣”を左右、上下に間延びさせようと試みる。さらには57分にルカクと代えて機動力のある19歳オリジを起用。彼が放ったシュートは惜しくもGKに阻まれたが、この2人の幅を利かせたプレーと両CBの攻撃参加によって相手の包囲網は破壊し始めた。(下記図:アルジェリアのプレーエリアの変化)【Squawkaのデータを参照させて頂きました。】

ア軍の守備崩壊

バイタルでボールを扱えるようになったベルギーは64分フェライニを投入して仕上げにかかる。両サイドの縦への動きに加えて、オリジとフェライニの2人が前線に張ることでアルジェリアのディフェンスラインはより自陣に深く引かざるを得ない状態。そしてその5分後、ベルギーはいとも簡単にサイドチェンジから脇を抉りフェライニの頭に合わせてついに試合を振り出しに戻す。こうなるとアルジェリア軍の崩壊は止まらない。これまでそれほど疲労は見られなかったが足をつる選手も出てき始める。結局同点とされた10分後、中途半端な攻め上がりで絵にかいたようなカウンターをくらい呆気なく沈んでしまった。

総括:ベルギーが見せた引いた「相手を崩す3つの策」

アルジェリアが試みたセオリー通りの守備固めに勝点を落としかけたベルギーだったが、64分までに3枚のカードを切る監督の英断で試合をひっくり返すことに成功した。ベルギーが引いた相手を崩すためにやったことは下記の3つ。①CBの攻撃参加で数の不利を軽減する、②スピードある選手が裏を狙い相手守備陣を間延びさせる、③サイドチェンジでマークをずらす。どれも至って基本的な策である。徹底的にコンパクトの守備で固めるアルジェリアも見事であったが、W杯の舞台でその包囲網を教科書通りに破壊してみせたベルギーは勝点3に値する。大会屈指の選手陣を誇り、苦しい初戦を巧みな戦術変更で勝ちきった赤い悪魔。1986年以来のベスト4進出も決して不可能ではない。

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