ベルギーの新鋭FWディヴォック・オリギ(19)のプレースタイル

彗星の如く表れW杯の大事な場面で決勝ゴールを奪って見せたベルギー代表のディヴォック・オリギ19歳。本記事では彼の家族背景、キャリア、プレースタイルについて紹介する。

Origi

■家族背景
オリギは1995年4月ベルギーにて、ケニアにルーツを持つ家庭の一員として誕生した。また彼の一族にはサッカー選手の血が色濃く流れているようで、父はベルギーリーグのタイトル(1999)獲得経験を持つケニア代表、3人の叔父もまた母国のリーグや代表チームでプレー、加えて従兄弟もケニア代表で25勝以上を上げたリールストロムSK(ノルウェーリーグ)のGKと言った具合だ。

■キャリア
そんなサッカー選手の系譜を受け継ぐオリギは、KRCゲンクのアカデミーで本格的なユースキャリアをスタートさせトレーニングと実践を重ねる。後にDMFからストライカーにコンバートされたことをきっかけに、フランスリーグ1部のリールにスカウトされ15歳にして国境を渡った。その後すぐにベルギーの格世代代表からも声がかかり17歳にしてU19代表にメンバー入り。リーグアンでも同年(1213)の第23節トロワAC戦、1点ビハインドの後半からの出場でデビューを飾りその6分後に同点ゴールを決めている。17歳10ヶ月でのこのゴールはリーグ史上3番目の速さとなり注目を集めた。初出場で得点を記録したこともあり少しずつだが出場時間を増やしこのシーズンは161分出場。翌シーズンは途中出場も含め30試合(1359分間)ピッチに立ち5ゴールを決めた。

<ゴール動画>

代表でのキャリアは2014年5月の時点でU19で19試合、U21で1試合に出場したもののフル代表でプレーした経験はなし。そのためマルク・ヴィルモッツ監督がW杯前にアキレス腱断裂の大怪我をしたクリスティアン・ベンテケ(23) の代わりにこの若者をブラジル行きのメンバーに抜擢したことは、スカッド発表の3週間前にベルギー代表を選択したアンドレ・ヤヌザイと並ぶサプライズ選出として報じられた。

■プレースタイル
ポジションは前線ならどこでもプレー可能。リールで先発した12試合(1314)のうち7試合は左、3試合は中央、2試合は右のアタッカーとしてプレーした。Sky Sports Scoutでは”サイドに流れて相手SBに1対1を仕掛け、巧みなファーストタッチからスピードを上げて抜き去るのが得意” “シーズンを通じて相手DFを背にしたボールキープに磨きがかかった” “卓越したバランス感覚とボール保持後の落ち着きを兼ね備えたアタッカー” と評されている。また、スピードとしなやかさに加えて競り合いに強いことも彼の魅了であり空中戦の勝率は43%(1314季)とルカク(38%)やベンテケ(56%)と比べても遜色はない。

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W杯でのプレーはグループリーグ2戦までで合計46分間。パス精度64%と若干の粗さは見られたが、途中から出てきてひょうひょうとプレーしながら球際で強さを見せ、4つのドリブルを成功させた。さらには土壇場で決勝ゴールまで決めた19歳の若者にポテンシャルを感じない方が難しい。尚、Sky Sports Scoutによると現在(2014.5.14)の評価額は£6mで将来的には£28mまで上昇する可能性を秘めているとのこと。ヨーロッパの格クラブがリールからの引き抜きを企てるのは時間の問題かもしれない。

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