ハルvsリヴァプール分析〜塞がれた両サイドとコウチーニョへの期待〜

0-0で終わったプレミアリーグ第8節。リヴァプールの攻撃を防ぐためにハルが取った策とそれに対するロジャーズの修正を振り返る。

【リヴァプール目線】
ここまで7試合で12失点を喫しているレッズはそろそろクリーンシートを達成したいところ。ロジャーズは守備に献身的なカンとアレンをジェラードの傍に配置しQPR戦の繰り返しを避けようと試みた。攻撃はバロテッリを中央に構えさせその両サイド、CBとSBの間のスペースを狙う。スピードと器用さを兼ね備えたスターリングとララーナを両ワイドに配置した。前試合までは右サイドからの攻撃が多かったレッズだがこの日は両サイドをバランスよく使い攻撃を組み立てた。

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しかしスターリングとララーナに対するマンマーク気味のプレッシャーを受けたことと、連戦の疲れもありこの策は機能せず。両サイドの4選手のパス成功率も(下記)その苦戦を示すような数値になっている。結果、前半の得点チャンスと2回に留まった。

ララーナ モレノ スターリング マンキージョ
ハル戦パス成功率 68% 82% 86% 70%
平均パス成功率 83% 86% 79% 80%

 

【ハル目線】
ハードな日程のリヴァプールに対して体力勝負では分があると考えたのだろう。キープレイヤーのサイド2人を厳しくマークし、攻撃の経由地を塞ぐ。ボールを奪ったらキープのできるディアメやヘルナンデスへつなぎシンプルにサイドへ。これが上手くはまり前半だけで3度のチャンスを作った。

【リヴァプール目線】
両サイドを徹底して塞がれているということは中央が手薄だということだ。後半、ロジャーズはそこを突こうと試みた。一手目はスターリングの中央シフトとジェラードの攻撃参加解禁。この変更は下記の前半45分と後半15分の両選手のボールタッチ位置の違いから読み取れる。(Squawka)

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(スターリングの前半45分と後半15分)

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(ジェラードの前半45分と後半15分)

2手目はランバートとコウチーニョの投入。ランバートを前線中央に投入して中央の「隙」を突く姿勢を見せつつ、単独突破のできるコウチーニョにドリブルさせる。中央を固めるか、それでもサイドをケアするのかで迷いが生じている上に、そろそろ足が止まり始める相手守備陣に好調のテクニシャンをぶつけるのは良手。この試合コウチーニョは30分の出場ながら7回のドリブル突破にトライし6回成功させている。

ロジャーズの修正が功を奏し、らしい攻撃を見せ始めたリヴァプール。だがハルの集中力を崩し切るには少し時間が足りなかった。結局、クリーンシートを達成したものの得点を奪えずアンフィールドで勝点1を獲得するに留まった。

【雑感】
本試合は「失点をしない」ことに意識が行き過ぎて攻撃がなおざりにされてしまった印象。ただ、後半からの巻き返しは見事であったし、「コウチーニョのジョーカー起用」はこれからの対戦相手も嫌がるだろう。スターリッジがいないからこそ監督の手腕で着実に勝ちを積み上げて貰いたい。