日本vsブラジルから読むコンパクトな守備の失敗例~「オスカル」の連続ポジションチェンジへの処方箋~

2014.10.14に行われた日本vsブラジル。「個」でも「組織」でも上回っていたブラジルが0-4で勝利したのは甚だ妥当な結果である。「コンパクトな守備」でサイドに追い込み奪ったらできるだけ早くフィニッシュまでもっていく、日本はそんなプランを持ってカナリア軍団に挑んだが余りにもあっけなく散ってしまった。アギーレJが試合前に抱いていた「理想」と「現実」には大きなギャップがあったのだ。本記事ではその両者がいかなるものだったのかに加えて、その「溝」を埋めるために必要だった「処方箋」について解説していく。

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■理想:コンパクトに守って早く攻めきる

~守備~
個では勝てないので要所で数的優位を作って囲い込む作戦。いわゆるゾーンディフェンスである。各自がコースを限定しながらプレスをかけ、サイドへ追い込んだところでボールを取り切りたい。効果的な守備網を作るために重要なのはアギーレ監督もよく口にする「コンパクトな守備」だ。なぜなら選手間の距離を縮めることで相手がプレーできるスペースが狭まり守備側としては特定の場所に追い込みやすくなるからである。

~攻撃~
中盤でブラジルのボールを奪い切ったらできるだけ早くフィニッシュまで持っていきたい。変にキープしようとしてブラジル得意のカウンターを受けるのを避けたいのである。攻撃の優先順位としたは第一に「岡崎への縦パスからの1.5~2列目の飛び出し」、第二に「サイドへ展開からの早い段階でのクロス」。キープ力、クロスへの嗅覚に優れた岡崎がいるため両者ともにそれなり期待が持てる。実際に日本の攻撃陣は恐らくこの2つのを相当意識してプレーしていた。筆者が数えただけでも前半20分までに早いタイミングでの縦パス5本、クロス6本。またoptaによるとクロス1本までのに要したパス数はブラジル95本に対して日本は15本であったとのこと。「早く攻めきる」という意味では狙い通りに展開できようだ。

しかし、そもそも「守備の理想」が破綻していたため攻撃についてはさほど議論しなくても良いかもしれない。0-4。完敗だった。次ページではアギーレJの理想を打ち砕いた連続ポジションチェンジを図解する。

【次ページ】”ブラジルの連続ポジションチェンジと個のレベルが違うカナリア達”