バーディの連続得点、エジルの天才的なゴール、デ・ブルイネの華麗なアシスト。例年、オフェンシブな選手の活躍がフューチャーされるのがフットボールだが、ニュースのトップに名が載らなくともチームにとって不可欠な存在となっている選手は何人もいる。
本記事は上記にあてはまるであろう5人のサイドバックに焦点を当てた内容である。対象はアーセナル、マンチェスター・シティ、マンチェスター・ユナイテッド、リヴァプール、チェルシーの右サイドバック、ベジェリン、サニャ、ヤング、クライン、イバノビッチとする。同5チームは平均ポゼッション率が56%~54%に位置しており、少なからず似かよったチーム力があるという前提のもと比較を行なう。尚、パス数はリヴァプールとチェルシーが他3チームと比較し少なめであるため、比較に進む前にその点をご留意頂きたい。
以下の比較では攻守の各スタッツを5選手間での「偏差値」に換算して算出している。学校のテストで算出されるものと同様、偏差値50を基準に5選手の中で相対的な差を表している。その結果がこちらのグラフ。
比較グラフを元に各選手について見ていきたい。
【エクトル・ベジェリン】攻守ともに最も優秀なのがこの選手。キーパス数とブロック数以外全て偏差値50を超え。持ち前のスピードもあってかドリブル成功数とインターセプトではそれぞれ偏差値67、63と高スコア。守備的なミスも誰よりも少なく、5選手の中ではNo.1と言えるのではないだろうか。さらなる躍動に期待したい。
【ナサニエル・クライン】パスの成功率の値が低いのが気になるが、それ以外は安定感を感じさせる値。インターセプトが少ないがファールも少なく、タックルが上手い。無闇にチャレンジをせず手堅く守り切る堅実なプレースタイルが伺える。全盛期のグレン・ジョンソンほどの攻撃力はないが一定数のキーパスは通している。ジョンソンの衰えもあり、右サイドバックのテコ入れが急務だったリヴァプールにとって£12.5mでのクラインを獲得はこれ以上ない補強だったと言える。
【ブニスラブ・イバノビッチ】長年チェルシーのDFラインを任せられているだけあり、クライン同様、全体としてはバランスの良さを感じさせる。パス成功率、ドリブル成功率、タックル成功率の三拍子揃って低いスコアが見られないのは見事。ただ、百戦錬磨のセルビア代表も年齢には逆らえないのだろうか。偏差値35以下のファール数と守備的ミスが気になるところ。
【バカリ・サニャ】キーパスは誰よりも通しているが、ドリブルはよく失敗する。インターセプトはよくするが、タックルの失敗は多いなど安定性にかける印象。コンディションを整えた上でのローテーションでの起用であれば問題ないものの、32歳という年齢もありサニャがフル稼働する右サイドでは心もとないのではないだろうか。サバレタの復帰を待ちたい。
【アシュリー・ヤング】今季、右サイドバックで起用されることの多いヤング。アタッカーとしてサイドを切り裂き、絶妙なシュートをゴール隅に叩き込む姿が懐かしい彼だが、サイドバックとしての他4選手との比較を見ると見劣りする。ギリギリ偏差値50に達しているのがドリブル成功数とインターセプト数のみで、劣等生と言わざるをえない成績。
尚、下記が5選手のそれぞれのスタッツの値である。
走力と攻守に渡る貢献を求められるサイドバック。スポットライトを浴びることが多くはない彼らだが、チームの功労者であることは間違いない。引き続き、各選手の実力差、個性に注目していきたい。