欧州サッカーのスタッツ、ニュース、コラムが掲載されているWEBサイト(英語)Squawkaのデータを参照させて頂き、今シーズンのスアレス、CR7、レヴァンドフスキ、イブラヒモビッチのスタッツを比較した。
4選手のスタッツを見た印象をそれぞれ一言で表すなら、CR7は優等生、レヴァンドフスキは職人、イブラヒモビッチは殺し屋、スアレスは曲者だ。
CR7はドリブル、タックル、ヘディングの値が高水準で安定していて(全て2位)ストライカーには珍しくパス成功率も80%を超える。このポルトガル人バロンドーラーはダイナミックなプレーをしている印象も強いが、数値を見ると堅実にプレーを成功させ、正攻法で点を取る優等生タイプのFWだ。
一方で、得意なプレーがはっきりしている職人気質のFWがレヴァンドフスキ。67%と極めて精度の高いシュートと、86回成功させている安定感のあるドリブルは、ペナルティエリア内で落ち着いてボールを受けゴール隅に流し込む彼の姿を想像させる。
イブラヒモビッチは余計なプレーをそぎ落とし、淡々とゴールを狙う殺し屋のようなFWだ。出場時間は最も多いが、ドリブル数ではワースト1位(43回)を記録。成功率を見るとドリブルが苦手という訳ではなさそうだが、195cm、95kgの強靭な体格とテコンドー仕込みの柔軟な足さばきがあれば相手を抜き去るまでもなく、ボールをキープし、チャンスを演出し、ゴールを決めることができるのだろう。
上記の3選手共に、その実力とスタイルが数字に表れているが、最も個性的で”曲者”なFWが今季26試合28G11Aのルイス・スアレスだ。シーズン序盤の5試合を出場停止の消化に費やしたこのウルグアイ人は得点はさることながら、チャンスクリエイト数でも極めて高い数字(33分に1回)を残している。その一方で、他の数値が低く(ドリブル成功率:ワースト1位、タックル成功率:ワースト2位、ヘディング成功率ワースト1位)中でもドリブルの仕掛けは195回も行っているが(13分に1回)75回しか成功していない。これだけを見ればエゴイスティックな選手が空回りしているようにも映るが、彼の場合この執拗なまでの仕掛けをDFとの駆け引きに、最終的にはゴールに結びつけている。DFがドリブルへの警戒心を強めた瞬間に空くシュートコース、パスコースをスアレスは見逃さないのだ。これはまさに、DFの重心を揺さぶる独特なドリブルと、どんな体勢からでも質の高いボールを蹴れる高い技術、南米仕込みの狡猾さを備え持つ彼だからこそ成り立つスタイルと言えるだろう。
“誰が最高の選手か?”という議題はサッカーに付き物だが、並外れた結果を残す、スタイルの異なる選手が複数並べば、個人のプレーだけを測ってそこに正しく優劣をつけるのは極めて難しい。(観ている分には最高に楽しいが。)個人の土俵で同じような結果を出している以上、そのスタイルによって差を付けるべきではないからだ。サッカーがチームスポーツである以上、最終的にはシーズン終了後、所属チームをどれだけ良い方向へ導けたかによって選手の価値を判断すべきではないだろうか。
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