ジェイミー・キャラガーが現役引退を表明したことで手薄になりかけたリバプールのディフェンスラインだが、夏のマーケット(1314)ではママドゥ・サコ、とコロ・トゥレの2人を獲得。先発クラスのCBを4人揃え、シーズンでは安定した守備が見られると期待したKOPも少なくないだろう。しかし蓋を空けてみれば失点数はパレス、ハル、ユナイテッドよりも多い44(35節現在)。 2月の25節から連勝しているものの、ここ3試合では3回先制して2回は追いつかれているのが実情だ。最後は持ち前の破壊力と勢いに物を言わせて勝点3をもぎ取っているが、残り3試合でも安易な失点を続ければ掴みかけた24年ぶりのトロフィーを落とすことになり兼ねない。もちろんロジャーズはこれまで以上に徹底してスカウティングし戦い方を選択するだろう。しかし、唯でさえ層の薄いリバプールが怪我人と出場停止を抱えている今オプションは限られている。
その中で唯一選択できるのがLCBのアッガーとサコのどちらを起用するかだ。これまでは互いに何度か負傷していたこともあり丁度良い具合にポジションを分け合っていたが現在は2人ともほぼ万全の状態。残り3試合でどちらが先発するべきかスタッツ比較から検証してみる。
まずこの比較で注目したいのがサコのタックル数、ブロック数、インターセプト数、クリア数だ。すべてでアッガーを上回っており守備における彼の積極性が伺える。加えてこのフランス代表DFは見た目以上にスピードがあり自身も持っているようだ。予め相手FWとの間合いを詰めてマークするタイプではないのにも関わらず、32回試みたタックルの内約70%を成功せているのがその裏返しである。
攻撃面でもドリブル数は7回、表には記載していないが最近3試合のパス数、ファイナルサードへのパス数がそれぞれアッガーより11本多い178本、5本多い14本と前のめりな姿勢を崩さない。(補足しておくと、3試合のポゼッションはサコ:56%、アッガー:62%とサコの方がパスをする機会は少ない可能性が高い。)それでいて90%越えるパス成功率からは安定感が伺える。
一方でアッガーは安易に飛び込まないスタイルが、タックル回数、インターセプト回数、ファール回数の少なさに表れている。スピードが無い分ポジショニングと読みを頼りに堅実な守備を試みているのかもしれない。競り合いの勝率(65%)はストロングポイントと言えそうだが、実は最近の3試合では12回中5回しか競り勝っていない(42%)。ちなみに最近3試合のサコの空中戦勝率はウエストハム戦含め60%と上昇気味。アッガーの先発した試合では平均勝点2.47と恐ろしい程のポイントを獲得しているが直接的な関係があるかは不明だ。
スタッツから判断すると文句なしでサコがアッガーを上回っており、スピードタイプのアタッカーが多いチェルシー戦をはじめ基本的にはサコを先発させるべきだろう。一つ一つの判断がトロフィーの行方を左右する残り3週間。コンディションの調整を含めロジャーズはどのようにタクトを振るうのか、その真価が問われる。