チェルシーとリバプールのスカッド比較~この夏何人補強する?(MF,FW編)~

スタリッジは怪我がちで、コウチーニョには波があり、モーゼスは役不足。度重なる補強の失敗によって出ずっぱりにならざるを得なくなった19歳のスターリングが全く怪我をせず急成長を遂げたのはロジャーズの功績だが、多大なリスクを払ったことに違いはない。攻守の柱であるヘンダーソンのパフォーマンスが低下気味の中果たした11連勝は圧巻だったが、シティ戦の終了間際全くもって不必要なレッドカードが限界に近づいた彼の身体に休息を与えてからチームは失速した。

来季のCL本戦出場が確定したレッズは6~13試合多く戦うことになり、ポッドの関係で予選から厳しい相手との対戦は不可避。彼らがPLとCLを戦い抜きトロフィーを目指すにはこの夏何人の補強をすれば良いのだろうか。

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1314シーズンCL、PLを両立し双方で好成績を残した代表はチェルシーだ。モウリーニョはストライカーの不在に不満を垂らしているが、FFPによる処分を受けることなくCLベスト4、PLトップ3を果たしたスカッドは質量共に1つの模範である。そこで本記事ではチェルシーのスカッドを基準にリバプールが夏のマーケットで何人の選手を獲得すべきなのかを考えてみる。(今回はMF,FWに限定)

MF、FWの選手の数は6つの枠に対してリバプールが9人、チェルシーが12.5人(ルイスを0.5人とカウント)。当然、試合数の多いチェルシーがより多くの選手を抱えているが、CLによる試合数の増加率が1.3倍であるのに対して、選手数はリバプールの1.25倍。つまり選手の”量”だけを見るとレッズのスカッドはチェルシーに劣っていない。しかし、この”量”には限定的な働きしかできなかったアスパスとモーゼスも含まれていることを忘れてはならない。おまけにリバプールの選手が怪我をする頻度はここ2年でチェルシーの約1.5倍。これらを考慮に入れるとPLだけを戦うにしても決して十分な戦力が揃っていたとは言えない。(過去2年のデータから読むプレミアリーグトップ7の怪我人事情>>)

チェルシーとリバプールのスカッド(1314)pax-foot.info

それでは本題に入る。リバプールはこの夏どう動くべきか。”質”の面では残念ながらアスパスとモーゼスを取り替える必要がある。現実可能な策として真っ先に頭に浮かぶのはボリーニとスソのレンタルバックだ。FFPの規制が厳格化され始めた上に、W杯イヤーも重なって難しい市場が予想される今夏このオプションを行使できるのは大きい。

質の次は”量”だ。上述の比較からもわかる通りCLを戦う上でリバプールの選手層は明らかに足りていない。少なくとも2人の即戦力を確保したいところ。優先度の高いポイントは2つ。第一にスタリッジ、スターリングとポジションを争える選手だ。スターリングは今季こそフル稼働したが両選手とも元々怪我に強い訳ではない。W杯の影響で満足なオフが取れない上に試合数も増えるとなれば怪我のリスクはさらに膨らむと予想される。ターゲットとしては、タイプは違えど噂に上がっているミュラーやロドリゴ、シャチリなどが適当ではないだろうか。

次に優先すべきがコウチーニョ、アレン、ヘンダーソンと代替可能な選手。伸び悩んでいる2人に危機感を与え、ヘンダーソンへの依存度を軽減する必要があるためだ。割高になってしまうが頻繁に話題となっているララーナが加われば頼もしい。

守備力に秀でたボランチを望む声もありそうだが、ルーカスをジェラードの横に配置することを拒んだロジャーズが守備のためにポジションを1つ埋めるとは考えにくい。攻守両方で高水準な力を発揮できるフェルナンジーニョやマスチェラーノのような選手であれば攻撃力を落とさずに守備を強化する策としてプランに組みたいところだが、その種の選手が市場に出ているのは稀だ。噂に上がっている中で見込みがあるのはバルセロナのソングぐらいだろうか。少なくともこの夏の補強は可能になったバルサは近い将来を見据えて”まとめ買い”を試みることになるだろう。その一環で彼が放出候補にあがるのならピンポイントでチャレンジしてみるのも悪くはない。

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「プレミアは十分な休養を取れるリバプールが有利だ」モウリーニョのこの指摘は間違ってはいないがレッズの選手層ではそのアドバンテージを持ってしても分があるとは言い難かった。故に選手たちは本当によく戦った。この勢いを止めず、常勝軍団へと向かうためには移籍市場での愚かなミスはもう許されない。

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