ロジャーズは戦術の引き出しが多い監督だ。彼はシーズン中微修正を繰り返しながら、時には大きな変化をチームに求め、7位だったリヴァプールを2位まで引き上げることに成功した。本記事ではレッズが採用したフォーメーションごとの得失点数からその軌跡の一部を読み解く。
3バック
1314シーズン、リヴァプールが3バックで戦ったのはエンリケ負傷後の5試合に留まったが応急処置にしては悪くない結果を残した。今考えると監督の柔軟さがチームを助けた形である。しかしその後ロジャーズは実力不足のシソコ、本職ではないフラナガンをLSBで起用してまでして別の布陣を模索。3バックの得点数は1試合平均2.4得点と決して批判すべき数字ではないが全試合の1試合平均が2.7得点ということを考えると物足りない。加えて平均失点数は意外と多い1.3。途中から見ることのなくなったこの未成熟のフォーメーションは来期も緊急事態のオプションの域は超えないだろう。
2ボランチ
スアレスのいない序盤戦と中盤戦多用されたこの布陣はX’mas首位に一役買った。前線を1人削って底に2人並べる分、守備力は増し平均失点数は0.9と極めて優秀だが得点数は1試合平均2.1と綺麗に力を落としている。しかし、この数字はスアレス不在に大きく影響されたものだ。スアレスの出場停止空けに絞ればは平均失点数は1.1に抑えたまま得点は3.0まで上昇。後半戦では全く見なくなったこの布陣だが、W杯明けのジェラードがどの程度稼働するかが不透明な来期、柱の一つとなる可能性もある。
1ボランチ
怪我勝ちでパフォーマンスも上がりきらないアレンとルーカスに痺れ切らしたのか、それとも元々狙っていたのかは分からないが監督はジェラードの底1枚をチームにはめ込み11連勝を達成した。この形で戦ったのはルーカスの1ボランチも含めれば全部で22試合だが、キャプテンが底を務めた試合の方が遥かに良い数字を残している。ルーカスの底は「攻撃のコマを1枚削って守備的な選手を起用する」といった意図を含むが、”ジェラードシステム”の場合は「攻撃に重点を置き守備は組織力でカバーする」という狙いになる。近頃のルーカスは縦パスや細かなつなぎも期待できるようになったが攻撃を加速させるまでには至らず。一方ジェラードを底に配置する上で懸念されていたで守備は思ったほど崩壊せず、攻撃力は爆発した。
ロジャーズは持ち前の引き出しの多さと柔軟さで、選手層が限られていたリヴァプールをプレミアリーグ2位に導いた。CL出場権を獲得し選手の選択肢の増加が既定路線の来期以降、彼はどんなサッカーを創り出すのか。期待は膨らむばかりだ。
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