ビッグ4という言葉を聞かなくなったのはいつからでしょうか。チェルシー、アーセナル、マンチェスターユナイテッド、リヴァプール、かつてはこの4チームがプレミアリーグを支配していました。
しかし、順位表を見ても分かる通り今やリーグのパワーバランスは崩れつつあります。マンチェスターユナイテッドがストークに引き分け、リヴァプールはレスターに2点差を追いつかれ、アーセナルが「CL圏内直接対決」という名のもとにサウサンプトンと争いそして敗れる。今のプレミアリーグではこんなことがごく普通に起こります。昨シーズン、今シーズンの順位表がその裏返しです。
「下位が強い」というのはプレミアリーグにおいてよく言われる話ですがここ数年でその傾向が急速に強くなっている気がしてなりません。そして数字はそのなんとなく感じていたことを裏付けてくれます。10年前と今のプレミアリーグを比べてみましょう。10年前というと2004年、今20歳の人は小学4年生、30歳の人はまだ社会人になっていないかもしれません。サッカー界ではシェフチェンコがバロンドールを受賞した年、リヴァプールがイスタンブールでビッグイヤーを掲げた年、チェルシーが50年ぶりのプレミア制覇を果たした年です。
下記のグラフはプレミアリーグのチームを2004/05シーズンからシーズンごとの1位~4位、5位~8位、9位~12位、13位~16位、17位~20位のチームで5つにグルーピングし「1試合当たりの平均勝ち点」を比較したものです。グラフを眺めてみると、「上位2グループ間の差」と「下位3グループ間の差」の縮まりが見受けられます。(※1415シーズンの数値はは前半戦終了時点の勝ち点を換算。)
では上述の2つについてより細かく見てみましょう。まずは上位2グループの「勝ち点差」の推移を示したグラフです。時間が進むにつれ、勝ち点の差が縮んでいることが分かります。「5位~8位」の平均獲得勝ち点は10年前が1.47点なのに対して今シーズンは1.62点。「1位~4位」の今シーズンの勝ち点は10年前とまったく同じ2.08点で推移しています。
中でも目を引くのが2008年から2010年にかけての落差です。この年にはマンチェスター・シティが、主将を務めていたリチャード・ダンなどの主力を放出してカルロス・テベスやアデバイヨル、アダム・ジョンソンらを獲得するなど露骨な大型補強を行い前年の10位から5位へ躍進。またスパーズがレドナップの就任、ベイルの活躍などによりCL出場権を獲得した年でもあります。またそれに伴ってリヴァプールが低迷期と呼ばれ始めます。この辺りからビッグ4の構図が崩れたと言えるでしょう。